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チョコレートの世界 食とライフスタイル

【徹底解説】チョコレートを太らずに食べたい! チョコレートの種類別カロリー比較とカロリー消費、賢いチョコレートの選び方とは?

2022.2.13

疲れたときや甘いものが恋しくなるときについ手を伸ばしがちなチョコレート。子どもから大人までチョコレートが大好き!という人は少なくありません。チョコレート=ダイエットの敵というイメージがありますが、実はチョコレートを賢く選ぶことで、安心して食べつづけることができるのです。この記事では、チョコレートのカロリーを正しく知って、太りづらいチョコレートの食べ方について、その意外な効用と一緒に解説します。

チョコレートのカロリーはどのくらい?

カロリーに影響する3つの栄養素:「糖分」「脂質」「食物繊維」

カロリーとは、人が生きていく上で必要なエネルギーのこと

カロリーとは、人が生きていく上で必要なエネルギーの単位のこと。1gの水を1℃上げるために必要なエネルギー(熱量)が1calです。1日に必要なカロリーに対して、摂取したカロリーが使い切れずに余ってしまうと、体内に体脂肪として蓄えられます。

人の体に必要な5大栄養素には、タンパク質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラルがあります。このうち、炭水化物は「糖質」と「食物繊維」で構成されています。

糖分と脂質の摂りすぎは肥満につながる一方で、食物繊維は脂質の吸収を抑える

いわゆる高カロリーとされる食材や食品には、多くの「脂質」と「糖質」が含まれています。一方で、「食物繊維」は血糖値の急上昇や脂質の吸収を抑える働きがあります。チョコレートの太りやすさを決めるひとつのカギが、この「脂質」と「糖質」と「食物繊維」の量です。

チョコレートの種類ではカロリーは大きく変わらない!?板チョコ1枚50gあたりで検証

ホワイトチョコレート、ミルクチョコレート、ダークチョコレートの写真

それでは、実際のチョコレートのカロリーについて、板チョコ1枚50gとして種類別にみてみましょう。
「ミルクチョコレート」はチョコレートのうち乳製品を混ぜ入れたもの、「ダークチョコレート」は一般的にはチョコレートの原材料の一つであるカカオの含有率が40%以上のチョコレート、「ホワイトチョコレート」はチョコレート色の素となる原材料のカカオマスを使用しないチョコレートです。

ミルクチョコレート・ダークチョコレート・ホワイトチョコレートのカロリー比較表

(カロリー計算の出典はこちら

ちなみに、ご飯茶碗1杯分はおよそ240kcalです。
こうしてみると、ホワイトチョコレートがややカロリーが高めですが、チョコレートの種類によってカロリーは大きく変わらないことが分かりますね。

高カカオチョコレートは高カロリー?

チョコレートに含まれる糖質と脂質の量がカロリーに影響する

では、チョコレートのカロリーを左右するものは一体何でしょうか。
一つは、高カロリーの要因となる「脂質」と「糖質」の量です。気になるチョコレートのパッケージをいくつか手に取ったときに、裏側にかかれた栄養成分表示をチェックしてみてください。

脂質に影響する「カカオ含有量」とは?チョコレートに含まれるカカオの量の割合のこと

もう一つ、脂質に影響するものが「カカオマス含有量(カカオ含有率)」です。
カカオマスとは、チョコレートの原材料となるカカオ豆の胚乳を発酵、乾燥、焙煎、磨砕したもの。カカオマスには、約55%のカカオ脂肪分(ココアバター)が含まれています。

一般的なチョコレートのカカオ含有率は20〜30%程度だが、「高カカオ」チョコレートは70%以上が多い

カカオ含有率が高くなると、脂質が増えてカロリーが高くなります。
一般的なチョコレートのカカオマス含有量が20~30%なのに対して、高カカオチョコレートは70%以上が多いため、脂質も増えてカロリーが高くなるのです。

高カカオチョコレートが太りにくい理由

では、高カカオチョコレートが太るのかというと、必ずしもそうではありません。高カカオチョコレートは、一般的なチョコレートよりも糖分が少なく、脂質の吸収を抑える食物繊維も多く含まれています。少量でも満腹感を得られるので、「ちょっと小腹が空いたとき」に手を伸ばすなら、高カカオチョコレートがおすすめ。

チョコレートの主要メーカーの商品別カロリー

次に、コンビニなど身近に買えるチョコレートのカロリーはどのくらいかチェックしてみましょう。
おそらく誰もが一度は手に取ったことがある、主要メーカーの商品別カロリーがこちら。
板チョコレートに比べると、アーモンドなどのナッツ類や、クッキー生地などが加わった商品はカロリーが相対的に高めになる傾向があります。

明治・森永・ロッテのチョコレートのカロリー比較表

チョコレートのカロリーを消費するために必要な運動量は?

【スポーツで】板チョコレート1枚分のカロリー(平均286kcal)を消費するために必要な運動量

食べたチョコレート分のカロリーを消費するには、どのくらいの運動が必要なのでしょうか。板チョコレート1枚の平均カロリー(ミルクチョコレート・ダークチョコレート・ホワイトチョコレートの平均286kcal)を消費するには?体重や年齢、性別などによって異なりますが、身近な有酸素運動でチェックしてみましょう。
※体重50kgの場合
タニタの消費カロリー早見表から算出

ウォーキング |30分で92kcal 【286kcal消費するには、約90分】

普段の生活で負担なく取り組みやすいのがウォーキング。通勤する時に一駅分歩いたり、買い物ついでに散歩をしたり、いつもより意識して長めに歩くことで消費カロリーも増えていきます。

ランニング|20分で123kcal 【286kcal消費するには、約46分】

思い立ったときに気軽に始められるのがランニング。特別なウェアや器具が必要ないのも嬉しいところ。いつもは車や自転車を使う道を走ってみるのも気分転換になりそうです。

水泳(クロール)|10分で88kcal 【286kcal消費するには、約30分】

もっと短い時間でカロリーを消費したい人におすすめなのが水泳。クロールでは、10分で約88kcalが消費されます。30分程泳げば板チョコレート1枚分のカロリーを消費することができます。

水泳(平泳ぎ)|10分で70kcal  【286kcal消費するには、約40分】

クロールよりも負荷が少ない平泳ぎでは、10分で約70kcalが消費され、40分程で板チョコレート1枚分のカロリーが消費される計算になります。

まとめると:チョコレート1枚分のカロリーを消費するには、約30分~90分の有酸素運動が必要

運動の種類毎によるカロリー消費表

※体重50kgの場合
タニタの消費カロリー早見表から算出

【日常生活で】板チョコレート1枚分のカロリーを消費するためには?

「摂取したカロリーを消費するために運動しないと」と思っていても、疲れていたり、忙しかったりすると日常生活に定期的に取り入れるハードルは高いかもしれません。けれども、日常生活を送るだけでもカロリーは消費しているのです。

デスクワーク| 60分で95kcal 【286kcal消費するには、約180分】

長時間のデスクワークで脳の働きを支えるにはブドウ糖が必要です。ブドウ糖を消費することで、脳内での思考や記憶を行うためのエネルギーに変換されます。つまり体を動かさないデスクワークでもカロリーが消費されるのです。体重50kgの成人の場合は、約3時間のデスクワークで板チョコレート1枚分のカロリーが消費されます。

入浴| 20分で35kcal 【286kcal消費するには、約160分】

心身ともにリラックスする入浴でもカロリーは消費されます。体重50kgの成人の場合は、約20分で35kcalが消費され、約80分の入浴
で板チョコレート1/2枚分のカロリーが消費される計算になります。少し長いと感じるかもしれませんが、半身浴でゆっくり入浴してはいかがでしょう。

家事(掃除機かけ)|15分で33kcal 【286kcal消費するには、約130分】

家事をするだけでもカロリーは消費されます。掃除機かけは15分で33kcalが消費されます。

まとめると:デスクワークや入浴、家事などを組み合わせると板チョコレート1枚分のカロリーに該当する

日常生活によるカロリー消費量の表

実は、何もしなくてもカロリーは消費している

30-40代男性の参考体重では1日あたり1,530kcal、女性は1,150kcalを消費している

さきほどの表をみて「そんなにお風呂に長く入らない」、「家事だけでカロリー消費できない」と思う人もいるかもしれませんね。
でも、実はデスクワークや家事をしていなくても、人の体は呼吸をしているだけで1日あたり1110kcal~1530kcalを消費しているのです。それが「基礎代謝」と呼ばれるものです。

「基礎代謝」とは?何もしなくても1日あたり1110kcal~1530kcalを消費している

たとえば、30-40代男性の参考体重では1日あたり1,530kcal、女性は1,150kcalを消費していることになります。
<参考>日本医師会 「1日に必要なカロリー『推定エネルギー必要量』」

1日あたりに食べて良いチョコレートの量はどのくらい?

一般的には間食(おやす)は1日あたり200kcalまでが目安:明治ミルクチョコレートなら8片分

運動や日常生活、基礎代謝で消費されるカロリーについて知っても、「1日にどのくらいの量のチョコレートを食べてもいいの?」と気になる人もいるかもしれませんね。
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトによると、一般的には、間食(おやす)は1日あたり200kcalまでが目安とされています。これは、明治ミルクチョコレートなら8片分にあたります。

ダイエットを考えている場合は、1日に摂取するエネルギーが消費するエネルギーを超えないように

ただし、人工甘味料が入った飲み物などもカロリーに換算されるので注意が必要です。ダイエットを考えている場合は、1日に摂取するエネルギーが消費するエネルギーを超えないように気をつけたいですね。

甘いものが欲しくなったとき、チョコレート以外で食べられる低カロリーのお菓子は?

「どうしても甘いものが食べたい!」というときは、チョコレートに代わる低カロリーのお菓子を食べてみてはいかがでしょう。
たとえば、素焼きのナッツと小魚、こんにゃくゼリー、おからを使ったお菓子など。また、干し芋やスルメなど昔ながらのおやつは栄養価も高く腹持ちも良いので、体重が気になるときにおすすめです。
もっと知りたい人は、こちらもどうぞ。
コンビニ・スーパーで買える低カロリーおやつ15選!

体重が気になるときのチョコレートの上手な食べ方

チョコレートを賢く選ぶには?

糖分と脂質が少なく、食物繊維が多いチョコレートがダイエットに理想的

「それでもやっぱりチョコレートが食べたい!」というときは、「糖分と脂質が少なく、食物繊維が多いチョコレート」を選ぶのがおすすめです。

カカオマス含有量が高い「高カカオチョコレート」を選ぼう

特に、カカオマス含有量が高い「高カカオチョコレート」なら、適量であればダイエットの強い味方になります。食事の前に少量を摂取することで、血糖値の急上昇を防ぐことができ、肥満の防止が期待できます。

身近に手に入る高カカオチョコレート3選

高カカオチョコレート(ハイカカオチョコレート)はスーパーやコンビニで手軽に手に入れることができます。「そもそもハイカカオチョコレートってどんなチョコレート?」と疑問を持った方にはこちらの記事で詳しく解説しています。
ハイカカオチョコレートで健康生活!栄養・効果・食べ方も徹底解説

ちょっと奮発したい高級チョコレート3選

奮発したいときには、高級ブランドからハイカカオチョコレートを選んでみるのも手です。
【2022年版】人気の高級チョコレート20選!価格・シーン別に紹介 

食べるタイミングを選ぼう

もう一つ、チョコレートとカロリーが気になるときにチェックしたいポイントが、「いつチョコレートを食べるか」。チョコレートを食べるタイミングとしておすすめなのは・・・

朝仕事を始める前や、運動する前に食べることでカロリーを効果的に消費する

チョコレートに含まれる糖分は脳や体を動かすためのエネルギーとなります。そのため、仕事を始める前や、運動する前に食べることでカロリーをうまく消費しながら、1日を快適にスタートさせることができます。

集中したいとき

チョコレートの原材料カカオに含まれるカカオポリフェノールと、苦み成分のテオブロミンは、集中力を高める効果があると言われていて、含有量が多いほど集中力アップが期待できます。大事なプレゼンや試験の前など、ここ一番で集中したいときにおすすめです。

疲労感を感じたとき、リラックスしたいとき

チョコレートには、マグネシウムなどのミネラルが含まれています。 マグネシウムは、幸せホルモン「セロトニン」の合成を助け、テオブロミンは集中力を高めるほかにもセロトニンの働きを助ける作用があることから、ストレスの軽減が期待できるとされています。
さらに、チョコレートのアミノ酸のひとつGABAはリラックス効果があるという研究もあります。

夜、寝る前には食べないことが鉄則!

チョコレートにはカフェインも含まれています。特に高カカオチョコレートはカフェインの含有量が高いため、夜眠る前に食べ過ぎてしまうと眠れなくなることも。
また、就寝前に高カロリーのものを食べるとカロリーが消費されずに体内に蓄積されてしまうので、控えたいですね。

ダイエット中におすすめのチョコレート商品

最近は砂糖ゼロ・糖質ゼロのチョコレートが手に入るようになりました。チョコレート本来のおいしさを感じながら、ダイエット中でも安心して 食べることができます。

ロッテ 「ZERO(ゼロ)」

まろやかな味わいのマイルドタイプと、 甘さ控えめのビタータイプの2種類が販売されています。
「ゼロは砂糖、乳糖などの糖類が含まれない(※)シュガーフリーチョコレートで、「砂糖などの糖類の摂取が気になる方もチョコレート本来の美味しさを楽しむことができます」(ロッテ公式サイトより引用)

実は知られてない?チョコレートの美容・健康効果

「カカオポリフェノール」による美容・健康効果

集中力を高め、疲労回復・リラックスにもつながるチョコレート。最近では、美容・健康効果も期待されています。
そのひとつが、「カカオポリフェノール」による効果です。

ポリフェノールは、植物が生成する抗酸化物質。カカオにも含まれる。

ポリフェノールは、植物が光合成によって生成する抗酸化物質のことです。紫外線や乾燥、塩分、周囲に生息する菌などのストレスから身を守るために生成されます。自然界に8,000種類以上あると言われているポリフェノールは抗酸化作用が強く、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用があります。

カカオポリフェノールで、ポリフェノールを効率よく摂取!抗酸化作用によるお肌の老化防止も

カカオポリフェノールには、抗酸化作用があり、肌老化の原因のひとつである「活性酸素」が引き起こすトラブルを防ぐことが期待されています。実はこのポリフェノール、自然の食品から摂取することが難しいのです。効率よく摂取できるものとして、ポリフェノールが含まれるカカオ豆を素材ごと使うチョコレートなのです。

ダイエット効果も期待!満腹中枢を刺激して空腹感を抑える

食物繊維が豊富に含まれる高カカオチョコレートは、血糖値の急上昇を防ぐ効果があります。また、カカオポリフェノールによって、満腹中枢を刺激するレプチンという物質が体内で分泌されるのです。食事の前に適量のチョコレートを食べるkとで、食べ過ぎを抑えてダイエットをサポートしてくれます。

カカオマスに含まれるマグネシウムやテオブロミン、GABAはストレス軽減に効果があると報告されている

このGABAはグリコのチョコレート「GABA(ギャバ)」のネーミングにも使われています。「事務的な作業による一時的・心理的なストレスを低減する」ことを謳った機能性表示食品です。

カカオポリフェノールの健康・美容効果をもっと詳しく知りたい人はこちらの記事がおすすめ!
5分で分かる効果 カカオポリフェノール・カカオプロテイン
ポリフェノールとは?体への効果と摂取できる食品・飲み物を解説!

最後に:栄養バランスの取れた食生活と運動を

食べ過ぎには注意。栄養バランスと適度な運動を心がけよう

健康・美容にも効果が期待できるチョコレートですが、食べ過ぎには注意が必要です。
特に、高カカオチョコレートは嗜好品として楽しむ分には問題ありませんが、普通のチョコレートより脂質量が多いため、摂りすぎには注意が必要です。
3食の栄養バランスと適度な運動とあわせてチョコレートを楽しみましょう。

上手にチョコレートを選ぶことで、頑張る自分にささやかな幸せを届けられる

日常にささやかな幸せを届けてくれるチョコレート。チョコレート好きであれば、体重を気にして一切絶ってしまうのは寂しいもの。
だからこそ、チョコレートに含まれるカロリーやその消費方法、チョコレートの効用を知って適量を賢く食べれば、ダイエット中でも安心して食べることができます。

 

<出典>
株式会社タニタ カロリズム 消費カロリー早見表
日本医師会 「1日に必要なカロリー『推定エネルギー必要量』」
厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
日本チョコレート・ココア協会
株式会社ロッテ Medi Palette「糖質、糖類、糖分の違いは?太る理由や健康的な食べ方などを解説!」
株式会社明治 みんなの健康チョコライフ 「5分で分かる効果 カカオポリフェノール・カカオプロテイン」
株式会社明治 コーポレートサイト
森永製菓株式会社 コーポレートサイト
株式会社ロッテ コーポレートサイト
ELLE 「知ってた? チョコレートには、フィジカル&メンタルにいいことがたくさん!」
独立行政法人国民生活センター 「高カカオをうたったチョコレート(結果報告)」

WRITER
カカオロジスト・ライター
小島 美緒
Mio Kojima

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