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チョコレートの世界 食とライフスタイル

いま話題のチョコレートの効果|健康・美容への知られざる効果とは?体重が気になるときも賢くチョコレートを選んで楽しめる

2022.3.14

子どもから大人までたくさんの人に愛されているチョコレート。
砂糖や油分が含まれるため「太りやすいのでは・・・」と心配する声も聞かれますが、この数年でチョコレートが健康・美容へもたらす効果が注目されています。
実は、チョコレートは古来から不老長寿の薬として利用されてきた歴史があるのです。
最近の研究では、血糖値の上昇を防ぐ効果や、ポリフェノールや抗酸化作用による美容効果、マグネシウム・テオブロミンによるリラックス効果など、さまざまな効果が知られてきました。
この記事では、ただ美味しいだけじゃない、体にも良い効果が期待できるチョコレートの魅力をご紹介します。

いま、注目されるチョコレートの効果

チョコレートの消費量は日本でも世界でも増加している

日本では年間のチョコレート消費量は30年で75%増加した

総務省の統計を基に全日本菓子協会と日本チョコレート・ココア協会が算出したデータによると、日本国内におけるチョコレートの1人あたり消費量は1990年では1.57kgだったのに対して、2000年には1.84kg、2015年には1.98kg、そして2020年には2.1kgと2kg台を突破。
30年間で約75%増加しています。
出典:全日本菓子協会 日本チョコレート・ココア協会 日本貿易月表、総務省統計

世界のカカオ豆摩砕量は30年で約1.7倍に増加した

世界に目を向けてみても、チョコレートの原材料となるカカオの需要が増加していることが分かります。
これまでチョコレートの主要な消費地はヨーロッパが中心でしたが、新興国での需要も増えてきたことで、世界の需要を後押ししています。

世界のカカオの磨砕量推移グラフ
出典:『チョコレートと砂糖のおはなし』 日本チョコレート・ココア協会 専務理事 原田英明

お家時間の増加で、ささやかな幸せをスイーツに求める傾向に

新型コロナウィルスの感染拡大によってお家時間が増えたことで、「身近な暮らしのなかでささやかな幸せを感じたい」と考えた人もいるかもしれません。
日本発の Bean to Barブランド「Minimal (ミニマル)」(http://mini-mal.tokyo)を展開する、株式会社βaceのアンケート調査によると、 「在宅時間の増加によって、スイーツを食べる頻度が増えた」「とても増えた」と回答した人が54%にのぼりました。

スイーツに関する意識調査のグラフ

チョコレートが日本にもたらされて200年、いま健康・美容効果が消費を後押している

チョコレートが日本で初めて食べられたのは、江戸時代、1797年の長崎だったと史料に残されています。交易のあったオランダからもたらされたと言われています。
チョコレートが販売されるようになったのは、明治時代。さらに、高級品だったチョコレートが大衆向けに製造されるようになったのは、明治や森永が創業をはじめた大正時代です。
それから200年が経ち、私たちにとって身近になったチョコレートは、健康・美容の観点から見直されています。

出典:『チョコレートの歴史・食文化と機能性』 夏目みどり 株式会社 明治 乳酸菌研究所 健康科学研究部

チョコレートの効果と健康美容

大手製菓メーカーがチョコレート効果をうたった商品を次々と発売

この20年ほどで、チョコレートをはじめとするカカオ製品の健康への効果が科学的に研究されるようになりました。
多くの臨床研究が欧米を中心に行われてきましたが、日本では明治製菓が先駆けて研究を進め、チョコレートの体への良い効果を謳った製品が販売されるようになりました。

明治製菓 『チョコレート効果』シリーズ

チョコレート効果72%チョコレート効果86%チョコレート効果95%

代表的なのが、明治製菓『チョコレート効果』シリーズ。
カカオ含有量が72%のものから、95%まで3つのラインナップがあります。カカオの苦みが苦手、という人はアーモンドやマカデミアナッツをチョコレートで包んだシリーズもおすすめです。

江崎グリコ 『GABA』

GABA ビター味の写真

江崎グリコの『GABA』は、ストレス軽減やリラックス効果を謳っています。
「仕事や勉強等による一時的・心理的なストレスを低減する機能が報告されているGABA(γ-アミノ酪酸)を配合」した、カカオの味わいが広がる一口サイズのチョコレートです。2022年2月からは、睡眠の質を高めるGABA for Sleepシリーズも発売されました。

チョコレートを食べることで期待される健康・美容効果とは?成分別に解説

カカオポリフェノールによる効果(1):老化防止

チョコレートに期待される効果のひとつが、カカオポリフェノールによる老化防止です。

ポリフェノールは植物が生成する抗酸化物質。カカオにも含まれる。

ポリフェノールとは、植物が生成する抗酸化物質で、自然界にはさまざまなポリフェノールがあります。その数5,000種類以上。
植物が紫外線や害虫、塩分など有害な物質から守るための苦み・色素の成分であり、抗酸化作用、ホルモン促進作用にも効果があるとされています。

抗酸化作用によるお肌の老化防止が期待できる

ポリフェノールが含まれる身近なものに、赤ワインやりんご、コーヒーなどがありますが、カカオに含まれるカカオポリフェノールにも、高い抗酸化作用が認められています。
そのため、カカオポリフェノールには、お肌の老化を引き起こす活性酸素を防ぐ効果が期待されているのです。

カカオポリフェノールによる効果(2):血圧を下げる

血圧を下げるイメージ写真

カカオポリフェノールを含む「ダークチョコレート」は、含まれない「ホワイトチョコレート」よりも血圧を下げる効果が認められた

カカオポリフェノールのもうひとつの効果が、血圧の上昇を抑える働きです。
血圧が上がるメカニズムは、血管が詰まり、細くなること。カカオポリフェノールを含むチョコレートは、血管を広げる作用が期待できることが研究で分かってきました。
また、動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールの酸化を防ぐ効果も認められています。
出典:「チョコレート摂取による健康機能に関する実証研究」

カカオプロテインによる効果:便秘の解消と整腸効果

カカオプロテインとは、カカオポリフェノールと同じく、カカオに含まれる成分の一つで、タンパク質の一種です。
カカオプロテインは、便秘症状の改善に期待されています。

便秘のイメージ写真

カカオプロテインがもたらす便秘の解消効果が注目されている

若年層に限らず、幅広い年代で問題化している便秘。放置しておくと生活の質にも影響を及ぼしてしまいます。

厚生労働省の調査によれば、日本国内で便秘に悩む人は480万人にのぼり、そのうち約320万人が女性。その傾向は20代以降60代まで続き、若年層のみならず幅広い年齢層で問題化しています。
便秘状態はイライラや不快感、下腹部の張りや腹痛につながるなど心身に悪影響を及ぼします。また、便秘による肌荒れは、女性にとって生活の質(QOL)を下げる要因とも言えます。
カカオプロテインには、便通の改善や、腸内フローラによる整腸作用が期待され、便秘によるリスクを解消する効果があるとされています。

テオブロミンとマグネシウムによる効果:リラックス効果、ストレス軽減

ストレスを和らげている女性の写真

 マグネシウムは、幸せホルモン「セロトニン」の合成を助ける

マグネシウムは、幸せホルモンとも言われる「セロトニン」の合成を助けてくれます。
緊張感や不安感を軽減してくれるセロトニンが不足すると、イライラや抗うつ感、集中力・向上心の低下、不眠などさまざまな影響を及ぼします。
チョコレートに含まれるマグネシウムは、心身を安定させるのに一役買っているとも言えます。

テオブロミンは集中力を高めるほかにもセロトニンの働きを助け、ストレスの軽減が期待できる

チョコレートに含まれるテオブロミンは、マグネシウムと同じくセロトニンの働きを助ける効果があります。
また、集中力を高める作用もあるため、緊張感が続く仕事や勉強の合間にチョコレートを食べることで、ストレスを和らげながら集中力を保つことを助けてくれます。

江崎グリコのチョコレート「GABA」の由来、アミノ酸GABAにはリラックス効果がある

江崎グリコのチョコレート「GABA(ギャバ)」は、チョコレートに含まれるアミノ酸の種類の一つであるGABA(γ-アミノ酪酸)に由来する機能性表示食品。
この成分にはリラックス効果があり、江崎グリコ「GABA」のパッケージには、事務作業による一時的なストレスを軽減し、集中力を後押しする効果が紹介されています。

チョコレート効果を左右する、カカオの含有量

カカオ含有量のイメージ写真

カカオ含有量が高い「ハイカカオチョコレート」は健康・美容への効果がより期待される

ハイカカオチョコレート(高カカオチョコレート)は、カカオ含有量が高いチョコレートのこと。一般的に70%以上の含有量のチョコレートがハイカカオチョコレートと分類されます。

カカオ含有量が高いほど、含まれるカカオポリフェノールの量が増える

チョコレートの原料となるカカオにはポリフェノールが含まれています。同じ重さのチョコレートでも、カカオ含有量が多いほど、ポリフェノールによる効果が期待できます。

タンパク質・脂質の量も増える

ハイカカオチョコレートは、カカオ含有量が30-50%程度のミルクチョコレートなどと比べ、タンパク質と脂質の割合も増えます。
チョコレートの効果を期待してハイカカオチョコレートを食べ過ぎることは、脂質の摂取量も増えるため注意が必要です。

ハイカカオチョコレートは低GI食品

血糖値の急上昇を抑え、脂肪の蓄積を防ぐ

「脂質が多いとダイエットには不向きでは?」と思われるハイカカオチョコレートですが、実は低GI食品でもあります。
GI値とは、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示す指標で、食後2時間の血液中の糖の濃度を測ったもの。
つまり、食後の血糖値上昇を示す指標です。
ハイカカオチョコレートはこの数値が低く、食事の前に適量を食べることで、血糖値の急上昇を抑えることができます。
詳しいメカニズムはこちらの記事で解説しています。

ハイカカオチョコレートで健康生活!栄養・効果・食べ方も徹底解説

ハイカカオチョコレートはカフェイン含有量も増える

お皿に載ったチョコレートの写真

集中力を高めたいときにはハイカカオチョコレートがおすすめ

カカオはカフェインを含むため、ハイカカオチョコレートではカフェイン量も増加します。
ハイカカオチョコレートに含まれるカフェインは、100gあたり70〜120㎎とされています(コーヒーは100gあたり60㎎)。カフェインには眠気覚ましや覚醒作用があるため、集中力を高めたいシーンで摂ると良いでしょう。

カフェインによって期待される疲労回復

カフェインのイメージ写真

また、カフェインは交感神経を活発にする働きもあり、疲労回復の効果があるとされています。
カフェインは疲労回復の効用がある栄養ドリンクにも含まれますが、苦手な人もいるかもしれません。そんなときは、適量のチョコレートがおすすめです。

1日に食べて良いチョコレートの量は?

摂取するカロリーに注意する

チョコレートは健康や美容への効果が期待できますが、大事なことは適量を知ることです。

間食(おやつ)は1日あたり200kcalまでが目安

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトによると、一般的には、間食(おやす)は1日あたり200kcalまでが目安とされています。これは、明治ミルクチョコレートなら8片分にあたります。

ダイエット中は1日に摂取するエネルギーが消費するエネルギーを超えないように

1日に摂取するエネルギーが消費するエネルギーを上回ることで体重増加につながります。
また、カロリーが高いものとして、揚げ物やお菓子のように一見してカロリーの高い食べ物だけでなく、人工甘味料が入った飲み物などもカロリーに換算されるので注意が必要です。
ハイカカオチョコレートはダイエット中でも上手に取り入れることができますが、1日に摂取するエネルギーを総合的に考えて、消費するエネルギーを超えないように気をつけたいですね。

スポーツから日常生活まで:チョコレートで摂取したカロリーを消費するには

スポーツとカロリーのイメージ写真

ランニング・水泳から入浴、掃除まで:板チョコ1枚を消費する運動量は?

では、私たちが1日に消費するエネルギーはどのくらいなのでしょうか?
ランニング・水泳などのスポーツだけでなく、入浴や掃除など生活の様々なシーンでカロリーは消費されています。さらに、何もしていなくても「基礎代謝」で消費されるカロリーもあります。各シーンでの消費カロリーの詳細はこちら。

【徹底解説】チョコレートを太らずに食べたい! チョコレートの種類別カロリー比較とカロリー消費、賢いチョコレートの選び方とは?

チョコレートの摂取で気を付けること

食べ過ぎはNG。適正量を保ちながら食べる

ハイカカオチョコレートには脂質が多く含まれ、通常のチョコレートよりもカロリーは高い

通常のチョコレートよりもポリフェノールやカカオプロテインを多く含むハイカカオチョコレート。けれども、脂質も多く含まれるためカロリーは高くなります。

食べるタイミングを賢く選ぶ

時計とチョコレートの写真

そこで大事なのが、「チョコレートをいつ食べるか」です。

 食事の前にハイカカオチョコレートを食べることで血糖値の上昇を防ぐ

低GI食品のハイカカオチョコレートは、食物繊維が豊富。食事の前に適量を食べることで、血糖値の急な上昇を防ぎます。

朝仕事を始める前や、運動する前に食べることでカロリーを効果的に消費する

また、体がカロリーを消費するタイミングを見極めることも大事です。
たとえば朝仕事を始める前や、運動する前に食べることで効果的にカロリーを消費することができます。

夜、寝る前には食べないことが鉄則!

睡眠中は基礎代謝でカロリーが消費されるものの、日中の活動時間に比べると消費量は下がります。
1日に必要なカロリーに対して、摂取したカロリーが使い切れずに余ってしまうと、体内に体脂肪として蓄えられてしまうので、夜寝る前にチョコレートはおすすめしません。

チョコレートの効果を期待できるおすすめ商品は?

気軽に手に入るハイカカオチョコレート

同じチョコレートでも、チョコレートの効果を期待するならばカカオ含有量が多いチョコレートがおすすめ。
最近ではコンビニやスーパーでも手軽にハイカカオチョコレートが手に入るようになりました。
SDGs(持続可能な開発目標)の認知度が高まってきた近年では、フェアトレーズのカカオ豆を使ったり、売り上げの一部を生産者の生活向上に充てたりするサステナブルなハイカカオチョコレートのラインナップも増えてきました。

カレ・ド・ショコラ<カカオ70>(森永製菓)

カレ・ド・ショコラ<カカオ70>
味わい・香り・口どけにこだわったハイカカオチョコレートです。
https://www.morinaga.co.jp/products/detail.php?id=PRD2014-06-0020
カカオポリフェノール:1枚当たり:110mg

ザ・チョコレート(株式会社明治)


4つの産地(ブラジル・ドミニカ共和国・ペルー・ベネズエラ)で作られた「サステナブルカカオ豆」を使ったシリーズです。
https://www.meiji.co.jp/products/brand/the-chocolate/
それぞれの産地に合わせた2026年までの支援目標を決め、苗木や肥料の寄贈など農家への支援活動を行っています。

特別なシーンや自分へのご褒美に

バレンタインや大切な人への贈り物、自分へのご褒美に、高くても特別感のあるチョコレートを買いたい!
フランスやベルギーなど本場のショコラティエの逸品から、最近注目される日本のブランドまで、最新版のおすすめハイカカオチョコレートはこちらの記事をどうぞ。

【2022年版】人気の高級チョコレート20選!価格・シーン別に紹介

まとめ

おいしく正しく食べながら、チョコレート効果でささやかな幸せを

チョコレートは体重が気になるときでも味方になる

チョココレートの原材料、栄養素、カロリーを正しく知れば、体重が気になるからと言って大好きなチョコレートを諦めることはありません。
ハイカカオチョコレートなど、適切な種類や1日に食べてよい量を知ることで、血糖値の急上昇を抑えたり、イライラ・不安感を和らげたりと、体にも嬉しい効果があります。

 一番はバランスの良い食生活

もちろん、チョコレートの食べ過ぎや偏った食生活は逆効果。バランスの取れた食事のなかで、上手にチョコレート生活を取り入れていきましょう。
新型コロナウィルスの感染拡大から2年。まだまだ自由に旅行をしたり、気軽に人と集まったりできない日々ですが、チョコレートの効果を意識して取り入れることで、きささやかな幸せがいつもの暮らしに生まれるかもしれません。

 

<出典>
チョコレート・ココアの統計 | 日本チョコレート・ココア協会
『チョコレートと砂糖のおはなし』 日本チョコレート・ココア協会 専務理事 原田 英明
株式会社 明治|5分で分かる効果 カカオポリフェノール・カカオプロテイン

WRITER
カカオロジスト・ライター
小島 美緒
Mio Kojima

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