コーヒー豆の最適な保存方法は?鮮度と風味を保つ秘訣を保存期間ごとに徹底解説!おすすすめ保存容器も紹介

自宅で過ごす時間が長かったこの数年で、コーヒー豆を買って自宅で挽きたてのコーヒーを楽しむ人が増えています。
そんな中で「コーヒー豆をつい買い過ぎてしまったけど、どうしよう」、「コーヒー豆っていつまで保存できるの?」と疑問を抱いたことはありませんか。この記事では、コーヒー豆の鮮度を保って美味しく飲むためのポイントについて解説します。
目次
コーヒー豆を劣化させる4つの原因:紫外線、温度、湿度、酸素
コーヒー豆は焙煎直後から鮮度が落ちはじめる
コーヒー豆は乾物のように長期間の保存が利くように思われますが、実は鮮度が刻々と変わる食品です。
目に見えない劣化は焙煎後から始まっている
焙煎で加熱・乾燥されたコーヒー豆は、生豆に含まれていた水分が抜けるため、乾燥大豆のように常温で保存ができるのでは?と思われ
がちです。
実は、コーヒー豆は「豆」ではなく、コーヒーの木になる果実の種。アーモンドやくるみのようなナッツ類に近いため、生鮮食品のように腐ることはなくても、鮮度が落ちて劣化するスピードは速いのです。
紫外線、温度、湿度、酸素の4大原因を避けることが鉄則
コーヒー豆の劣化の原因となるのは、紫外線、温度、湿度、酸素の4つです。これらを避けた適切な保存方法を選ぶことで、鮮度が落ちる ことを予防できます。
コーヒー豆は脂質とたんぱく質が多く、劣化しやすい
コーヒー豆100g当たりに含まれる脂質の割合は鶏のもも肉と同じくらい
焙煎されたコーヒー豆の表面がテカテカと光っているのを見たことはありませんか?
あのテカリは、コーヒー豆の内部から染み出た油分です。コーヒー豆には、100gあたりに含まれる脂質の割合が12~18%にのぼり、タンパク質は11~13%です。たとえば鶏もも肉100gに含まれる脂質の割合が約19%で、タンパク質は約17%であることを考えると、コーヒー豆に含まれる脂質やタンパク質の多さがイメージできるかと思います。
コーヒー豆は日が経つにつれて鮮度が落ちていく
焙煎して乾燥したコーヒー豆は一見すると日が経っても変化がないように見えますが、日に日に鮮度は落ちていきます。
新鮮なコーヒー豆で挽いた粉は、お湯を注ぐとふんわりと膨らみ、ゆっくりと抽出されますが、鮮度が落ちたコーヒー豆では膨らまず、注いだ湯がすぐに抽出されてしまいます。
劣化したコーヒー豆は酸化して酸味が増す
脂質が酸化することでコーヒー豆は「酸敗」し、コーヒーならではの香りや風味が損なわれる
コーヒー豆に多く含まれる脂質は、空気に触れることで酸化します。コーヒー豆はよほどの水分を含まない限り腐敗はしませんが、酸素と結びつき、「酸敗」していくのです。
「浅煎りのコーヒーも酸味があるのでは?」と思うかもしれませんが、酸化したコーヒー豆は喉ごしがイガイガし、つんとした酸っぱさを感じます。コーヒーならではの香りや風味、アロマが失われた状態です。
酸化したコーヒーは胃への負担が増える
変質した食品の油分は、過酸化脂質を生み出し、これが不快な臭いや、さらに酸敗が進むと毒性を発することもあります。
劣化した油で揚げられた天ぷらなどを食べてお腹が痛くなったことはないでしょうか。
酸化した油を少しくらい摂ってしまっても、体に備わっている毒素の分解機能によって、すぐに悪い影響はありません。ですが、許容量を超えて摂取すると、内蔵に負担がかかってしまいます。そのため、鮮度が著しく落ちたコーヒー豆はおすすめしません。
コーヒー豆の鮮度=美味しさを保つには、保存場所が重要
コーヒーの鮮度を保つポイントは3つ。いずれも、紫外線・温度・湿度・酸素の4つを避けることが重要です。
遮光性:紫外線に当てない
直射日光に当てないことはもちろん、蛍光灯や白熱電球も要注意
紫外線で劣化が促されるので、直射日光が当たる場所は適していません。意外と知られていませんが、蛍光灯や白熱電球からも紫外線が発せられています。「屋内だから大丈夫」と、光のあたる部屋に置きっぱなしはNGです。
高温多湿を避ける
温度が高くなるほど酸化スピードが上がる
生鮮食品と同じようにコーヒー豆は温度が高くなるほど酸化のスピードが上がります。「ちょっとくらい大丈夫かな」と、つい常温で保存してしまいがちですが、夏場は特に酸化が進むので、買ってすぐに適切な保存方法をとりましょう。
焙煎したコーヒー豆の微細な穴に湿気が溜まり、カビの原因に
焙煎したコーヒーには、細孔と呼ばれる微細な穴が開いています。そこに湿気が溜まるとカビやすくなります。この細孔は深煎りで焙煎されるほど多くなるため、注意が必要です。
密閉性:酸素に触れる面積を減らす
コーヒー豆の油分が酸素に触れることで、酸素と結びつき酸化が進む
空気に触れる面積を減らすことも重要です。しっかり密閉される容器に入れることで、酸化のスピードを遅らせます。
保存期間ごとの適切な保存方法とおすすめ保存容器
<焙煎から1週間以内>容器に入れて常温保存
キャニスターの素材は幅広い:ガラス、金属、ホーロー、木製、プラスチック
焙煎から5日程度であれば、通気性のないキャニスターなどの容器に入れて常温保存できます。
素材はガラス、ブリキや銅など金属でつくられた缶型、ホーロー、木製、プラスチックまでさまざまです。
あえて中身のコーヒー豆を見せたい人はガラス型やプラスチック型キャニスターがよいでしょう。遮光性を考慮するなら金属、ホーロー、木製がおすすです。ただし、缶型は金属の匂いが気になることもあります。
<焙煎から2週間以内>密閉袋に入れて冷蔵保存
焙煎から2週間以内に飲み終える量であれば、密閉できる袋に入れて冷蔵保存しましょう。
ジップバッグのような密閉できる袋に入れて酸化を抑制する
ジップバッグのような密閉できる袋は、空気を逃して低温保存できるため、常温よりも長く保存したい場合に適しています。
< 焙煎から1ヵ月以内>アルミバッグやフリーザーバッグに入れて冷凍保存
手軽なフリーザーバッグと、遮光性に優れたアルミバッグ
焙煎から1ヵ月以内であれば、冷凍保存しましょう。手軽に用意できるのはフリーザーバッグ。ダイソーなど100均で手に入るものでも代用できますが、冷凍庫も開け閉めの際に室内の光が差し込むことも。遮光性を重視して、内部がアルミ製になっているアルミバッグだとより保存効果が期待できます。
1か月以上の保存は、真空に近い状態で冷凍保存がおすすめ
真空状態に近づけることで、風味を落とさず長期保存ができる
「ついたくさん買ってしまった」と大容量のコーヒー豆を抱えている人におすすめなのは、真空状態での冷凍保存です。1ヵ月以内で飲みきれない場合は、真空状態にできる専用容器に入れて保存することで、3か月程度は風味を大きく損なわずに保存できます。
コーヒー豆の保存に適したおすすめ容器
コーヒー豆の鮮度を保つだけでなく、せっかくなら見た目もこだわりたい人向けに、機能性もあってコーヒータイムを彩るおすすめ容器を紹介します。
【常温保存おすすめ容器】 遮光性があり、インテリアにもなるキャニスター
デザイン性を求めるならば、キッチンやテーブルにそのまま馴染むキャニスター。幅広い素材やブランド・メーカーのラインナップで選ぶ楽しみがアップします。
飽きのこないデザインと機能性 「ティンキャニスター – MOHEIM TIN CANISTER」
福井県の樹脂製品メーカー「プラスティックス」とデザイナー「竹内茂一郎」によって立ち上げられた「MOHEIM(モヘイム)」のキャニスターは、そのまま食卓に出せる佇まい。コーヒー豆だけでなく、紅茶や緑茶、ハーブティーなどの保存にも最適です。
調湿機能がある漆のキャニスターもおすすめ 「我戸幹男商店(がとみきおしょうてん)KARMI 樽 茶筒・コーヒーキャニスター」
我戸幹男商店は、明治41年(1908)、轆轤(ろくろ)の町・石川県山中温泉で創業されました。伝統の職人技による轆轤挽きの美しいシルエットと、山中漆器の落ち着いた色合いに惹かれます。熟練した職人の技が光り、本体と蓋がぴったりと閉まります。
木製なので調湿機能も期待できます。
HARIO琺瑯キャニスター
ホーロー(琺瑯)は、金属とガラスで何層もコーティングされたもの。遮光性と密封性どちらとも優れているのがポイントです。
HARIO琺瑯キャニスターは、ぽってりとしたフォルムと木製の蓋がスタイリッシュでありながらどこか懐かしい雰囲気。ただし、ホーローは強い衝撃が加わると割れてしまうのは注意です。
コストパフォーマンス重視なら無印良品やニトリ、100均一も
無印良品やニトリでは、日常使いできるキャニスターを販売しています。実用性とコストパフォーマンスを重視する人に向いています。
ダイソーなどの100均でもキャニスターが揃っています。
スタバやカルディのキャニスターもスタイリッシュなデザイン
スターバックスやカルディなどコーヒー豆を扱うカフェや専門店からもキャニスターが販売されています。
カルディは価格が550円とリーズナブルでありながら、おしゃれなデザインで人気を集めています。
【省スペースで保存】空気に触れさせず密閉できる保存袋
キャニスターを置く場所を取りたくない場合は、省スペースで保存できるコーヒー用の保存袋があります。
アロマキープパック:バルブ付保存袋で炭酸ガスが放出される
焙煎したコーヒー豆は、粉で約3日間、豆では約6日間程度、炭酸ガスを放出します。鮮度の高いコーヒー豆を袋に密閉すると、破損
のリスクがありますが、外に放出するバルブ付き保存袋だと安心です。
外気は中に入れないワンウェイ型バルブと、内側はアルミフィルムになった保存袋が手に入れば、鮮度を保てるためなお安心です。
【キャンプやアウトドアに】 常温保存できるコンパクトと、スタイリッシュなデザイン
キャンプやアウトドア、さらに登山でもコーヒー豆を持参して挽きたて・淹れたてのコーヒーを楽しむことができます。
THE COFEESHOPオリジナル保存バッグ【COFFEE BEANS BAG [pake]】
キャニスターはかさばるけれど、ジップバッグでは屋外の紫外線が気になるかもしれません。そんな心配を払拭するのが、THE COFEESHOPオリジナル保存バッグ「COFFEE BEANS BAG [pake]」。コーヒー豆の量に合わせてコンパクトに畳め、空気との接触を避けられるジップバッグの利点と、キャニスターのメリットである遮光性と耐久性を併せた高性能の保存袋です。
ショップや自宅でできる、適切な保存のためのチェックポイント
ここまではおすすめの保存方法と保存容器をご紹介してきましたが、それ以外にもコーヒー豆を買うショップや、自宅でできるチェックポイントがあります。
【ショップで】焙煎してからの経過日数が少ないものを選ぶ
コーヒー豆の焙煎店では、パッケージに印字された焙煎日をチェックします。印字されていないケースもありますが、お店の人に必ず聞いて 鮮度を確認してみましょう。
【ショップで】麻袋は密閉性が低いので避けるのが無難
おしゃれな麻袋は密閉性がないため劣化を後押しする
焙煎コーヒー豆を販売するショップでは、麻袋に入ったコーヒー豆を見かけることがあります。見た目はおしゃれですが、通気性が良い反面、密閉性が低く、劣化している可能性があります。ショップでの保存環境をしっかりチェックしましょう。
【自宅で】粉ではなく豆で保存する
粉は空気に触れる面積が急増するため劣化スピードが速まります。粉の状態で常温保存する場合、美味しく飲めるのは1週間以内と言われています。
粉で買った方が楽かもしれませんが、自宅にミルがあれば豆で購入・保存することで、長い期間コーヒー豆の風味を楽しめます。
また、暑い地域や季節では、購入したらすぐに冷蔵保存し、なるべく早く飲み終えましょう。
【自宅で】冷蔵庫・冷凍庫の整理整頓を忘れずに
温度を一定に保ち、匂い移りや霜降りを避けるためにも整理整頓を
見落とされがちなのが、自宅の冷蔵庫・冷凍庫の整理整頓。中身がいっぱいでは食品から匂いが移ってしまったり、霜が降りやすくなることでコーヒー豆の湿度が上ってしまったりと、デリケートなコーヒー豆にとっては好ましくない環境です。
また、庫内の温度が高くなり、せっかく冷蔵・冷凍保存しても鮮度を保ちづらくなります。コーヒー豆を買って保存する前に、しっかりと冷蔵庫の状態をチェックしてからコーヒー豆を迎えましょう。
まとめ
保存したい期間に合わせた適切な容器選びが鮮度を保つ第一歩
いかがでしたでしょうか?せっかくコーヒー豆を買ったのであれば、少しでも長く美味しく飲みたいですね。
コーヒーが劣化するメカニズムと要因を知ることで、適切な保存方法や容器を判断することさえできれば、鮮度が保たれた美味しいコーヒー豆で淹れることができます。ワンランク上の保存ポイントを押さえて、上質なコーヒータイムを過ごしてみませんか?
<出典・参考サイト>
・UCC My Coffee Style MAGAZINE
・コーヒー豆研究所
・UCCドリップポッドマガジン
・ドリップしよう。- Shall we drip? – | キーコーヒー株式会社 最適なコーヒー豆の保存方法とは?保存場所から挽いた粉の扱い方についても解説!
・ BEANS EXPRESS ROASTER 意外と知らないコーヒーに含まれる栄養成分とは?
・コトバンク ニッポニカ大辞典 『酸敗』
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小島 美緒
Mio Kojima